口腔がんとは? | About oral cancer

『口腔がん』とは顎口腔領域に発生する悪性腫瘍の総称。

口腔は歯以外の粘膜が扁平上皮から成るため,口腔がんの90%以上は扁平上皮癌です。その他にも唾液腺に由来する腺癌や,肉腫,悪性リンパ腫,多臓器がんからの転移性癌があります1)。UICCやWHOは、 舌、 歯肉、 口腔底、 頬粘膜、 硬口蓋、 口唇(発生頻度が高い順)などに発生したがんを口腔がんと定義します(図1,2 )。

口腔がん検診1

口腔がん検診2

 口腔がんは、 国際的に見ると欧米の先進国では減少傾向ですが 2)わが国では年々増加しています2, 3) (図3)。

口腔がん健診3

わが国における口腔・咽頭がんの罹患率は全がんの2.2%を占め、2018年では年間21,000名の罹患者数を認めました(図4)。 また死亡率も39.8%、 約7,700名と全がんの中で10番目に多い結果となりました(図5)。

口腔がん検診4

口腔がん検診5

そして罹患率、 死亡率ともに 中年以降増加すると報告されています4)(図6, 7)。口腔・咽頭がんの5年生存率は局所限局症例では86.6%であるのに対して、 リンパ節転移などの進行症例では53.5%まで低下します(図8)。これらの症例では咀嚼や嚥下、 構音などの機能障害はもちろんのこと、容姿など審美障害も来たします。

口腔がん検診6

口腔がん検診7

口腔がん検診8

 わが国では口腔がんに対する認知度が低く、 また早期では無症状のため医療機関への受診が遅れてしまうことが懸念されています。実際に医療機関を受診された口腔がん患者の半数以上は進行期を占めるとも報告されます5)。一方でアメリカでは半年に一度の口腔検診が実質義務化されております。

 口腔がんは初期段階のうちに早期発見、 早期治療を行えば大きな後遺症も残さず5年生存率は90%以上とも報告されます。早期発見、 早期治療のために口腔がん検診が極めて重要なのです。


口腔がん早期発見セルフチェックシート | Self checksheet

チェックしてみてください!

  • 口内炎が2週間以上治らない
  • 抜歯した傷がなかなか治らない
  • 噛んだ傷、 入れ歯や差し歯が当たってできた傷がなかなか治らない
  • 粘膜のただれ、 赤色や白色のできものがある
  • 硬いしこりや腫れがある
  • 傷の痛みがとれない
  • 傷から出血がある
  • 唇や舌、 頬にしびれがある、 動かしづらい
  • 噛んだり飲み込むことが難しい
  • 首のまわりのリンパ節が腫れている

セルフチェックで該当する変化があったら・・・・・・・・・・
悩まず、 まずはご相談ください。
そして、 口腔がん検診を受けてみてください!!!

口腔がん検診とは? | About screening oral cancer

『口腔がん検診』とは、口腔がんはもちろんのこと、白板症や紅板症、口腔扁平苔癬、 などの口腔潜在的悪性疾患 (Oral Potentially Malinant Disorders: OPMD = がんになる前の段階、 図9)の早期発見のために口腔内を検診すること。


口腔がん検診9

口腔がん検診の基本的な流れ | basic flow

1 問診票の記入

口腔がんリスク (生活習慣や病歴、 口腔内の状態など)について記入いただきます。


2 視診・触診

視診:顔面、 頸部、 口腔内までを診て発赤や白斑、 ただれ、 しこりなどを確認します。
触診:実際に触って、 硬さやしこり、 出血や痛みがないかを確認します。


3 口腔内写真撮影・エックス線画像検査

経過を確認するために口腔内の写真を記録させていただきます。
また、 歯や顎(あご)の骨の状態を確認するために画像検査を行います。


4 口腔粘膜観察用光学機器ORALOOK®︎による観察・写真撮影

口腔粘膜観察用光学機器は大学病院口腔外科などの専門機関で使用され有用性が報告されています6, 7)
観察の際は非接触のため侵襲が無く、 安全かつ繰り返し施行が可能です。
当院ではORALOOK®︎ (図10) を用いて口腔粘膜に青色光を照射し異常所見(蛍光可視の低下、 FVL)の有無を確認します。

口腔がん検診10
※注意※

口腔粘膜観察用光学機器類はスクリーニングを目的とした補助的診断機器であり、 決して“がん発見器”ではありません。機器の特性上、 口腔がん以外でも咬傷や火傷などの外傷部位、 口内炎などの炎症性変化、 血管周囲でも同様のFVLが観察されることがあります。よってF V Lの存在ががんの確定診断となるものではあリません。


5 検診結果の報告

異常所見なしの場合

継続して年に1回以上は口腔健診, 口腔がん検診を受けましょう。


異常所見を認める場合

疑わしい所見を認める場合は必要に応じて擦過細胞診 (図11)や組織診 (生検) を行います。 そして, 連携する大学病院などの専門医療機関へすぐにご紹介いたします。

口腔がん検診11

口腔がんのよくある質問 | Q&A

Q.1.検診の費用はいくらですか?

A.
国内の健康保険制度上、 検診は保険適応外となります。当院では¥5,000 (税込¥5,500)です。


Q.2.検診時間はどのくらいですか?

A.
基本的には生じません。ただし、 触診時に痛みを感じる場合があります。
光学機器観察は非接触のため痛みの心配はございません。
また病理検査を行う場合は局所麻酔を使用します。


Q.3.がんが疑われた場合、 治療はどこで、 どのように行うのですか?

A.
通院の条件や治療方法などをご相談の上、連携する専門の医療機関へご紹介いたします。 口腔がんの主治療は外科療法(手術)、 放射線療法、 化学療法 (抗がん剤治療)です。主体は外科療法ですが、 近年は放射線治療技術の向上や多種におよぶ化学療法剤や分子標的治療薬の開発により放射線療法+化学療法も有効とされます。さまざまな治療方法を組み合わせる集学的治療が行われおります。何よりも、 治療効果の向上 (=がんを治す) だけでなく、 口腔の機能や形態を極力温存し治療後の患者様のQuality of Life (生活の質) の向上を目指すことが重要とされています。


Q.4.検診はどのくらいの頻度で受ければいいですか?

A.
アメリカでは半年に一度の口腔検診が義務付けられています。 早期発見・早期治療のため半年〜1年に一度の口腔がん検診をお勧めします。 予約の際は『口腔がん検診希望』や『口腔がんを調べたい』などとご相談ください。

参考文献

1.日本頭頸部癌学会編.頭頸部癌取扱い規約第6 版,金原出版,東京,2018.

2.World Health Organization: Oral cancer. Version 2018. Available at: http://www.who.int/cancer/prevention/diagnosis-screening/oral-cancer/en/

3.柴原孝彦: かかりつけ歯科医からはじめる口腔がん検診Step1・2・3. 医歯薬出版株式会社、 東京、 2013、 pp2-3.

4.独立行政法人国立がん研究センターがん情報対策センター. がん情報サービス: 最新がん統計. Available at: http://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html

5.Report of Head and Neck Cancer Registry of Japan Clinical Statistics of Registered Patients、 2015. https://center3.umin.ac.jp/umin-blog/edit/jshnc/wp-content/uploads/2017/10/d316613f9097f9768b90e4f444b23b17.pdf

6.森川貴迪、 小杉彩歌、 小坂井絢子、 他. 蛍光光学機器による扁平上皮癌ならびに白板症のAIを用いた画像解析. J. Jpn. Soc. Laser Dent、 29(3): 131-140、 2019. DOI : https://doi.org/10.5984/jjpnsoclaserdent.29.131

7.Takamichi M、 Ayaka K、 Takahiko S: The utility of optical instrument “ORALOOK®︎” in the early detection of high risk oral mucosal lesions. Anticancer Res、 39: 2519-2525、 2019.